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日本庭園における役木

今回取り上げたのは役木です

やくぎという言い方する人もいますけど

どっちでもいいと思います

なんか湯桶読み?重箱読み?っていうんでしたっけ?

しかもどっちがどっちかもわからないんですけどw

なんか、こういう場合はこうやって読むんだよ!

みたいなこともあるのかもしれないんですが

ここでは音音でヤクボクとよんでいきますので

宜しくお願いします

 

で、その役木なんですが

日本庭園を造る上での植栽の役どころみたいなものでして

日本庭園が完成したといわれる江戸時代 享保(きょうほう)20年から文政(ぶんせい)12年

に2人の著者で作られた庭師のバイブル的存在の築山庭造伝っていうのがあるんですけど

それをはじめ、その後も指南書に樹種や形状等を指定される程

役割を持った木のことを指します

 

その役木、私も全て完璧に把握してるわけではないので

皆さんと一緒に勉強していきたいと思います

 

 

正真木

庭の景観の中心になる様に植えられる常緑の大木で、その庭の主木、シンボルツリーになる木です

「一庭の司たる大木」とされていて松の大木を使うことが多かったようですが

植えられる木は松の他に、モチノキ、マキ、モッコク等が使われています

 

景養木(けいようぼく)

正真木とは対比した関係で使用され、正真木を補う役割を持っています

例えば正真木が針葉樹だったら広葉樹、正真木が広葉樹なら針葉樹を使用するといった感じです

「一庭の景を養い保つ」とされていて、幹や枝ぶりが奇麗で正真木の樹形に見合ったものを選びます

イブキ,キャラ,モチノキ等が使用されます

 

 

寂然木(じゃくねんぼく)

じゃくねんぼくで私は覚えたんですが呼び方が色々ありましてセキゼンボクやジャクゼンボクと読む人もいます

おそらく古い書物にフリガナが振っていないことで読み方が変わったんだと思うんですが

漢音だとせきぜん

呉音だとじゃくねん

音読みだとじゃくねん又はじゃくぜんとなるようです

そんな寂然木ですが

「一庭物静かなる木」とされていて

派手にならず主張ぜず、庭を落ち着かせる役割の木です

南向きの庭の東側に植える常緑樹で枝葉が青く美しい常緑樹などを使用します。

マキ,イブキ,ツガ,モチ,モッコク,カシ,スギなどを使います

 

夕陽木(せきようぼく)

南向きの庭の西側に植える落葉樹です

夏は葉があるのできつい西日は遮り、冬は葉が落ちて貴重な西日が入る様に植えられる木です

また紅葉の時期は赤くなった葉を西日が照らし景観を演出するのでモミジやカエデが多く使われます

「一景を離れて独り景をなす」とされ、夕陽木単体でも景観を作ることができる、庭の中で孤高の存在ともいえる木です

奇麗に紅葉するモミジの他に花物を植える場合もあります

 

さて主要な役木を紹介しましたが

まだ沢山あるのでここからはざっと紹介していきたいと思います

 

見越しの木(みこしの木)

庭の背景を構成し、手前の景色を引き立てる役割があります

塀沿いに植えて塀の外から見えるようにされた木です

見越しの松というのが広く知られてると思うのですが、松の他にカシやマキなども使われます

 

燈籠控えの木(とうろうひかえのき)

石灯籠の脇や後ろに植える木で燈籠を引き立てる役割があります

使用されるのは常緑樹です

 

灯障りの木(ひざわりのき)

枝葉が石灯籠の火口を障る様に植える木で、燈籠に火を入れた時に枝葉が薄っすら照らされる、夜を演出する木です

モミジなど落葉樹を使用します

 

垣留めの木(かきどめのき)

垣根の親柱や袖垣の柱に沿わせて植える木です

マキ,カキ,カエデ,モッコク,ニシキギ,イヌツゲ、サザンカ等樹種にはあまり決まりはないのですが

ウメを植えたときだけ「袖ヶ香」と呼びます

 

庵添えの木(いおりぞえのき)

茶室の軒や四阿などに言葉通り添えるように植える木です

茶室や四阿ではなくても建物に添えて植えてあれば庵添えと呼んでいいと思います

マツ、カキ、クリ等が使用されています

 

橋本の木(はしもとのき)

池のある庭で橋のたもとに植えられて枝葉が水面に映る様に演出する木です

シダレヤナギやモミジのようなしなやかな枝を持つ木が良いとされる。

 

鉢請けの木(はちうけのき)

つくばいや縁先手水鉢に添える木です、枝葉が手水鉢の水穴に少しかかるように植えます

あまり大振りでないヒサカキ、ナンテン、アセビ等を使います

 

井戸会釈の木(いどあしらいのき)

井戸や井筒の脇に添える木です

マツ、ウメ、ヤナギが使われていました

 

飛泉障りの木(ひせんざわりのき)

滝の手前や滝石の中に植えて滝を全面見せない様に植える木です。奥山の情景もかもし出す。

マツやモミジなどが用いられる

 

門冠りの松(もんかぶりのまつ)

築山庭造伝には記述がないと思うんですが、一番有名な役木なんじゃないかなと思うんですが

正門の脇に植えて、枝を門の屋根の様に仕立てる木です

江戸時代のころは、身分の高い家でしか屋根付きの門は立てられなかった

そういう決まりがあった様なんですが

屋根付きの門が建てられない家で、屋根に見立てた門冠りっていうのが流行ったんだそうです

赤松、黒松が多くみられますが、マキも使われます

 

こんな感じで役木紹介したんですけども

他にもあると思うんですがパッと頭に浮かんでくるもの…

まあ紹介した中でもパッとは浮かんでこないんですけどww

これくらいでいいんじゃないかなと思います

興味のある方はね、調べてみてください

 

で、この役木は庭の面積によって省略されるものもあったり

樹種も今みたいに外国の木がたくさん入ってきてたわけではないと思うので

当時の庭師もあったら、景観に合っていれば使ってたんじゃないかと思うので

ご自宅の庭のどの木がどれに当てはまるのか考えてみるのも面白いと思います

 

あと、旅行なんかに行ったときに大きな日本庭園見に行くこともあるんじゃないかと思うんですよ

そんな時、この役木を知っていれば10倍日本庭園が楽しめますよ

 

 

 

樂景 山下